ゲレンデスキーと、どこが違うの?
一番の違いは、リフトのない山を自分の足で歩いて登り、普通は一日一本だけ貴重な滑りを楽しむところだと思います。ゲレンデスキーならお腹が空いたらレストハウスに滑り込めばいい訳ですから、普通はカメラ程度しか持ち歩きませんが、山スキーはそんなわけには行きません。食料は勿論、非常時に備えて身を守る最低限の装備はリュックに入れて背負います。
リフトなら数分間で登れる距離を、重い荷物を担いで何時間もかけて歩いて登るのですから、ゲレンデスキーヤーから見れば、ほとんど狂気の沙汰に映ることでしょう。
山によっては前半部分でリフトを使わせてもらう場合もありますが、殆んどは滑る距離だけ自力で登ることになります。
ゲレンデスキーと比較すれば、「歩いて登るなんて、馬鹿げている・・・」って、ことになりますが、登山の半分はスキーで滑って下山できることを考えれば、こんなに楽しい登山はないのです。
何よりも雪山にはスキー場や夏山にはない静けさと神々しい美しさがあります。
1.ビンディング
用具の中での一番の違いはスキー板と靴を止めるビンディングです。
ゲレンデスキー用はスキー板と靴をしっかり固定するようになっていますが、山スキー用は踵部を固定したり、開放したりすることができます。開放するとテレマークスキーのように踵が上がります。
ゲレンデスキーは言うまでもなく滑降に重点がおかれています。いわゆる下り専門です。
一方、山スキーは山に登ることにも重点がおかれ、登るときはヒール部がスキー板から開放され歩き易く、滑るときはゲレンデスキー用同様ヒール部はしっかりスキー板に固定されます。
しかもこの切り替えがワンタッチでできる仕組みにできています。
2.靴
ゲレンデスキー用の靴は、靴底(ソール部)も他の部分と同じ素材(プラスチック?)でできていまが、山スキー用の兼用靴と言われる靴は、ソール部に登山靴と同じようなギザギザのある滑り止めのゴムが付いています。
これは、山スキーは滑降だけではなく、リフトのない山を歩いて登るためです。
普通はスキー板の裏にシールという滑り止めの毛の生えた布を張って、スキーを履いたまま登りますが、岩場や雪の付いてない所もありますから、登山靴同様の”歩き”に適した靴底になっています。
このことは、転倒時、特に捻れて転倒した場合に靴底の滑り止めが抵抗になって、ビンディングが外れ難いということにもなります。このためビンディングの開放値はゲレンデスキー靴の場合より低めに調整するのが一般的です。
3.スキー板
昔から山スキー用の板は、雪山を登るための道具という歴史が長かったため、滑ることより登ることに重点が置かれていましたから、板は重い荷物を担いでも耐えられるように幅が広いものが多かったのですが、最近はゲレンデスキー並みに滑ることに重点が移ってきましたので、ゲレンデスキーと見ま違うほどスマートなものが多くなってきました。
また、昔はスキートップに穴が開いていて、スキーをロープで引っ張って登ることもできましたが、最近はトップに穴が開いてないスキー板もあるようです。
スキー板に関してはゲレンデ用も山スキー用も差がなくなってきたと言えます。
4.ストック
これも違います
ゲレンデスキー用は細くてスマートなものや、滑降競技用の曲がったものなどがありますが、山スキー用は伸縮自在のものが多いようです。
また、先に付いているリング(最近はリングではありませんが・・・)がゲレンデスキー用より大きいものが付いているのが普通です。
これはゲレンデのように圧雪整備された斜面を登ったり滑ったりするのではなく、深い新雪の山でも使えるようにできているためです。
また、登る斜度に合わせて、長さを調節できることは大変好都合です。
5.シール
最後に小物です
先に靴のところでも触れましたが、現在のようにリフトで登るのが当たり前になっているゲレンデスキーヤーは恐らく見たこともないのではないかと思うのが、このシールという滑り止めの布です。
昔はアザラシの毛皮を使っていましたが、現在はナイロン製で、短い毛が斜めに密に生えています。
毛がスキートップからテールの方向に向いているように貼り付けることで、前方には滑り易く、後方には毛が引っ掛かって滑らなくなり、スキーを履いたまま斜面を登ることができるようになります。慣れれば相当急斜面でも難なく登ることができます。(画像上)
シールの裏にはガムテープのような粘着性のある接着剤が塗ってあり、スキー板に貼り付け易く、また剥がし易くなっています。
山頂に着いたらシールを剥がすわけですが、二つ折りにして接着面どおしを合わせて貼り付けておけば何度でも再使用が可能です。(画像右)
ただし濡れると接着力が低下するので、数日山に入る場合は予備を持っていった方が安心です。
昔のアザラシの皮に比べて大変に扱いやすく、便利になりました。何よりスキー板とシールの間に隙間がなく、雪が入ることがなくなったのは大きな進歩です。
私も最初はアザラシの毛皮を使っていましたが、ナイロン製を使ったらその便利さ、性能の良さには驚きました。
6.GPS
雪山で威力を発揮するのが、ハンディGPSです。むしろ雪山では必需品です。
夏山のように登山道が見えるわけではありません。地形も夏見た様子とは大きく変わっている場合が少なくありません。
白一色の雪山では、夏山だったら何てことないような薄い霧でもホワイトアウトで視界ゼロに陥ってしまうことさえあります。また、5月の連休でも猛吹雪になることだって珍しくありません。
こんな時、GPSは頼もしいアイテムです。現在地が分かるだけでなく、歩いて来た軌跡と距離と時間、進むべき方向と距離を表示します。 更に、現在速度から到着時刻を刻々と計算してくれます。
やむなく撤退する場合、トラックバック機能を使えば、GPSに記録されている今まで歩いて来た軌跡を辿って、確実にスタート地点に戻ることができます。
私が山スキーを盛んにやっていた頃は、こんな便利な道具はありませんでした。あったのかも知れませんが、例えあったとしても、きっと高くて買えなかったのではないかと思います。
